8月8日は矯正歯科専門開業医の団体が制定した「歯並びの日」とのことですが、この同じ日を「八重歯の日」とした八重歯好きの一般の方によるイベントがあったそうです。
日本以外では嫌われる、可哀そうと思われている八重歯ですが、日本だけ「八重歯が可愛い」という方もいらっしゃいます。現在ではそういった方も減ってきたように感じます。
このことについては横浜の矯正歯科医、大野肅英先生が1988年の論文「八重歯の考現学」において日本の歴史や文化などから詳しく考察されています。その中で「八重歯が可愛い」には、「若さが関係している」、「日本文化の幼児性が潜んでいる」さらに、八重歯には「未完成の美としての魅力があるのだろう」と述べられています。
様々な不正咬合の中で、なぜか八重歯にだけ独特な価値観、美意識を持っているのは日本人だけと結論され、日本で生まれ育った方であれば、技術の発達や生活の西欧化などがあったとしても、この価値観は大きくは変わらないだろうと結ばれています。
とは言え、歯科医学的に犬歯には咀嚼(そしゃく)時のガイドとして働く重要な役割があり、八重歯の状態ではその役割が果たせず、また、歯磨きもしにくいことからむし歯や歯周病が懸念され、さらに転んだ時などに怪我(けが)をしやすいなどの理由から治療することを強くお勧めしています。