「骨の代謝」を利用するため、時間はかかりますが身体への負担が少ないです
人の骨は、日々、破壊と再生を繰り返す「骨代謝」をしながら新陳代謝して体を支えています。
歯列矯正は、この骨代謝を利用して歯を動かしています。装置で歯に少しずつ継続的な力を加えると、徐々に歯は動きます。歯が動くスピードは1ヶ月に1ミリ程度で、やみくもに強い力を加えたからといって、早く動くというわけではありません。力をかけすぎれば、歯の周囲の血管が圧迫されて、正常な代謝が行えず、歯が動かなくなったり、場合によっては、歯根や周囲の骨に大きなダメージを与えてしまうことがあります。
歯や周囲の組織に負担をかけずに、患者様の体が持つ自然のペースで治療をするため、上下全体の歯並びがキレイになって、良い咬み合わせになるまで、約2年~3年くらいの期間がかかるのです。
お子様の矯正治療について
小児矯正の場合、乳歯や生え換わりの6~7歳のころに、永久歯が生えやすくなるように部分的に治したり、顎の骨の成長を適切に導く治療を行う「1期治療」を行います。その後、永久歯が生えそろった後に、ブラケットやワイヤーを使って歯並びやかみ合わせを改善する全体的な矯正治療「2期治療」を行う場合があります。1期治療から2期治療までの経過観察の期間は、4ヶ月~半年に一度の通院になりますが、このようにステージを分けて治療する場合、トータルの通院期間は長くなります。
治療方法によって通院頻度は異なりますが、矯正装置を使い始めてからは、おおよそ3~4週間ごとの通院になります。これは、一度の矯正装置の調整で加えられた力に対して、歯動くサイクルが3~4週になるためです。
矯正装置による矯正期間が完了したあとに行う「保定*期間中」や「経過観察中」は3ヶ月~半年おきの通院となります。
*保定について
矯正装置によって動かした歯や、周囲の組織は、まだ安定した状態ではありません。放っておくと、もとの悪い歯の位置に戻ろうとする「後戻り」がおこります。そのため、矯正装置をはずした後は、綺麗に揃った歯の位置を固定させる保定装置(リテーナー)を、歯の位置が安定するまで装着して様子を見ます。
人によって初めて矯正装置をつけたときや、装置を調整したときに、鈍い痛みをや歯が浮くような感覚を感じることがあります。矯正装置をつけて4~5時間位たつと、歯が動く準備を始めるので、それに伴ってこのような症状が現れます。
矯正装置の装着・調整による痛みは、通常は、2~3日で治ります。ただし、歯の動きや、個人の痛みの耐性によっても差があります。初めからほとんど違和感すらない方、食事で食べ物を咬むときに痛みを感じる方、一週間位お痛みが続いてしまう方もいらっしゃいますが、数週間先の次回の診療日までずっと続くことはありません。
どうしても辛い時には、担当医に相談の上、鎮痛剤を服用しても構いません。装置を装着した最初が一番辛く、次回から治療のたびに毎回このような状態になるわけではありません。また、治療が進むにつれこの感覚もやわらいできます。